中華アプリをインストールする前に知っておきたい中国スマホ事情とウイルス対策
当記事を書いた経緯
当記事は中華アプリ紹介の補助として作成しました。当サイトでは中国のゲームアプリを紹介していますが、アプリがインストールできるサイトへのリンクは行なっていません。これは、Androidならウイルス混入の危険性がない事を私が証明できない事、iOSは中国のアカウントがない限りプレイできないからです。最低でも自分でアプリを見つける知識があり、自己責任でインストールできる人でない限り、中華ゲームアプリで遊ばない方が良いと思っているためです。どうしてそう結論づけたかは以下を読めばなんとなく分かるかと思います。
とは言え中華アプリを紹介し続けている限り当サイトがきっかけで中華アプリをインストールする無謀な私みたいな人がいると思います。そこでセキュリティ方面を中心に知識として持っておいて欲しい情報をまとめました。
中国のAndroid事情
Googleが介入しないAndroid市場
Google Playは中国はが存在しません。2010年にGoogleが中国を撤退すると宣言したためです。ネット検閲による表現の自由に対する問題、Gメールの中身のハッキングなどの問題が生じたためです。撤退内容はGoogleの検索サービスだけでなく、Google Playを含む全てが対象となります。香港は撤退対象になっていないためGoogle Playは存在しますが、中国の豊富なアプリのほとんどは配信していません。
乱立する野良マーケット
Google Playが存在しない中国に現れたのが、独自のAndroidマーケットです。通信会社、携帯端末会社、インターネットポータルサイトなどさまざまな分野のメーカーが独自のAndroidマーケットを作り出しています。
googleが撤退した黎明期にはそれこそ山ほど存在しており無法状態となっていましたが現在中国国内で利用されているマーケットは限られています。中国国内は1.7億人以上のモバイルゲームユーザーがおり、少々古いデータですが、2013年第二半期のゲーム収入は全体は12.8億元(日本円で約200億円)となっています。ゲームに絞り人気のあるサイトはほぼ固定でここを押さえておけば中国国内のゲーム事情は把握できます。- 60手机助手
インターネット企業Qihoo 360 Technologyが運営しているAndroidマーケット。シェアはNo1でありほとんどのゲーmムが揃っているサイトと言っても過言ではありません。
- 百度手机助手
中国国内の検索エンジンポータルサイト百度が運営するAndroidマーケット。私は利用していないのでほとんど判りません。
- 应用宝
インターネット企業、テンセントが運営するAndroidマーケット。ここでしか配信されていない優良なゲームも複数あります。なお、テンセントが独自に開発したゲームのiOS版はAppleのAPP STOREで数多くのタイトルが上位に位置しています。中国版LINEと言えるほど認知されたアプリQQのアカウントが必要なタイトルもあるので会員登録が必要です。。
- 小米应用商店
2010年設立のAndroidマーケット。詳しくは判りません。
- 豌豆荚
ソフトバンクが1.2億円を出資したマーケット。詳しくは判りません。
私は60手机助手、应用宝から探しました。マニアなゲームはともかく人気のあるゲームアプリを探すだけの場合はこの2つで十分です。また、2つのAndroidマーケットは安全にも気を配った独自のガイドラインを設けており(アプリのウイルス問題は当然の如く中国人も看過できない問題であり大規模マーケットほど、安全面を強調した審査を行なう)、ガイドラインに合致しないアプリは審査の段階で弾かれ登録する事ができません。審査の見落としが発生する可能性は否定できませんが、ウイルスなどが混入されるリスクも多少は低くなります。ただ、ゲームアプリをインストールするだけなのにかなり重要な許可を求められるのは気になる……。
Googleの歩み寄り
全世界のAndroidユーザーは10億人いますが中国はその半分以上を占めています。売上は中国国内の野良マーケットが持っていき、Googleには一切の収益がありません。中国から撤退していたGoogleですが、その流れが変わりつつあります。2014年11月Googleは中国版Google Playを公開しました。中国の開発者はGoogle Playを通じてアプリを世界130ヶ国に配信する事ができるようになりました。しかし、現在は中国国内でアプリをダウンロードする事はできません。Googleは中国国内に配信できるよう中国当局と交渉しています。
Google Playが中国のポータルマーケットとなれば、適度に安心できるアプリを入手できるようになります。しかし実際問題として4年間の間に成熟し中国内の人々の信頼を勝ち得た野良アプリマーケットから簡単にシェアを奪えるとは到底思えません。また、Apple App Storeと比べGoogle Playそのものが完全に安心と言えない問題がありますが。
中国のiOS事情
画像は中国Apple App Storeの売上ランキング。日本のソーシャルゲームが一部中国に配信されたと聞きますが、トップを占めるのは中国オリジナルのコンテンツと一部の欧米コンテンツのみで日本は苦戦しています。また、一時期パズドラのフォロワーコンテンツが増加したと日本で話題になりましたが、今はほとんど駆逐され個性を放っているアプリのみ上位の売り上げを維持しています。
Apple App Store
中国を撤退したGoogleと異なりAppleはApp Storeを展開しています。Androidと異なり機種の価格が高いため2013年以前はAndroidユーザーと比べて所持者が少ない状況でしたが、近年は裕福層の増加や旧式の中古購入などで2015年1月は18%ほどシェアを持っています
セキュリティ面で考えるとApple App Storeからアプリの配信をしているため、Androidと比べると一定の安心があります。ただし、ある程度現地に即した形になるため中国当局や中国の法律とAppleの規約に矛盾が生じる場合には中国に即した形になっている可能性があるため注意が必要です。日本のApp Storeにある中華アプリは問題ないと思います。
パクり事情
JailBreak(脱獄)
AndroidはともかくiPhone、iPadの脱獄は当たり前になっています。iOSの野良アプリマーケットも複数存在します。App Storeの審査に通らないゲームや海賊版をプレイするためにどうしても必要だからです。iOSの野良マーケットもユーザーの認知が高い有名マーケットが存在します。
海賊版
有料アプリはパクられる、これは常識です。日本や欧米で配信されたアニメ、ゲーム、ドラマ、映画、全ての有料コンテンツは勿論、有料ゲームアプリはほぼ100%、中国の野良マーケットで配信されます。海賊版業者の無法状態になっています。そのため中国国内で作られたスマホゲームはほぼ99%フリートゥープレイ、つまり基本無料の作りになっています。このような歴史があるため、中国の基本無料ゲームは洗練されています。
ただ近年はその流れが変わりつつある初期段階です。
無法状態になっているかと言われるとまた事情が異なり、法律で訴える以外の方法で対処可能です。中国国内で版権を持つキャラを無断コピーしたアプリなどは著作権者の申請によって配信指し止めになるなど一定以上の効果があります。その一例が2013年2月に発足した中国ネット著作権保護連盟です。【特別企画】アクセスブライトは、どうやって中国で海賊版を一掃したのか?によると、シュタインズゲートの海賊版アプリを提供しているマーケット全てに海賊版の取り下げを裁判に頼る事なく友好的な書面での通達で一掃しました。この連盟には、中国政府のバックがあるため逆らえないそうです。中国の海賊版に困っている人は日本や欧米人だけでなく中国国内の作家や音楽家も同様であり、世界最大の人口を誇りながらも文化面で欧米に苦戦している一番の原因です。余談ですが中国国内の文化面のレベルは上昇傾向にあります。著作権の仕組みなどが中国でしっかりしてくると日本の強力なライバルになります。
なお、シュタインズゲートは最近のほんの一例であり、まだまだ海賊版が出回っている事は認識しておかねばなりません。
中華アプリをインストールするためのセキュリティ対策
中華アプリで遊ぶ場合、Google検索で「スマホ セキュリティ 対策」などで出てくるセキュリティ対策は実行したくてもできない部分があります。そこでいくつかポイントを絞って具体的に説明します。基本的にAndroidの対策で、iPhoneなどからApple App Storeでインストールする場合はこれほど神経質になる必要はありません。
脱獄しない
脱獄はウイルス混入経路が増えます。脱獄したスマートフォンの状態はウイルス対策ソフトとファイアーウォールが設定されていないWindowsPCと同等。特にiOSの場合、中華系野良アプリをインストールするためには脱獄の必要があるが、絶対にしてはいけません。App Storeで我慢する事です。
海賊版はインストールしない
絶対にインストールしてはいけないのが、提供不明元の怪しいアプリ。当然、日本で有料で売られているアプリが格安、もしくは無料で配信していても絶対にインストールをしてはいけません。私は法律関係のリスクなしで損得勘定を考えたとしても、海賊版をインストールしたくないです。
ウイルス対策ソフト・セキュリティソフトの導入
検出率が90%以上あるアプリを必ず入れておくこと。無料なら
など。
インストールしていいのは安心できるサイトの人気のあるアプリのみ
私が徹底しているのはこちらです。例えば上記の60手机助手や应用宝ですね。独自のガイドラインで審査を通すため、一定の信頼があります。Amazon App Storeを利用するぐらいの信頼はあると思っています。ゲームの公式サイトでapkを入手できたりもするのですが小さなデベロッパーは審査が通ってない分、不安があります。また、人気のあるアプリにウイルスが混入していると、その企業の評判が中国でもがた落ちです。その面から見ても人気のあるゲームは大丈夫でしょう。
Google検索の一番上が公式サイトとは限らない。
ウイルス混入apkファイル公開サイトかもしれません。私が公式サイトを見つける方法は中国のゲーム紹介大手サイトからのリンクとApple App Storeからのリンクです。Android版利用者もApple App Storeを利用する価値はあります。
Androidウイルス事例
AndroidはWindowsと異なりルート部分が保護されています。脱獄でもしない限りウイルスが絶対にできない事があります。例えばブラウザ感染は絶対にありません。感染ルートはアプリのインストールのみでそれ以外はありません。ここではAndroidウイルスが実際に起こした事例を紹介します。
- 個人情報収集
アプリケーションの許可で「個人情報」があるアプリは一度でも起動すると電話帳に登録してある電話番号、氏名などの情報が抜き取られる危険性があります。
- ソーシャルネットワークへ勝手に情報公開
twitterやfacebookにユーザーの許可を求める事なく投稿をするアプリがあります。
- 操作不能
Androidのロック機能を悪用し、Android起動時に強制ロックをかけ何もできないようにしてしまうウイルスがありました。ロックを解除して欲しければ金を払えと。所謂、スマホ・タブレットを人質にしたウイルスですね。
- リモート制御
Android端末をチェックする機能です。GPSによる位置把握、電話帳の確認、メールの確認、写真・動画の閲覧、勝手に写真。動画を撮る機能。基本的に遠隔で何でもできてしまいます。
ウイルス対策ソフトを過信しない
上記で90%以上と書きましたが、所詮90%です。残りの10%リスクが存在します。この数字、ウイルス混入しかしていないサイトでアプリを10個落とせば1個引っかかってしまうのです。これはかなり大きな数字です。だから安心できません。逆に誤検地もあります。
インストール時の権限チェック
怪しい権限があるアプリはインストールしないようにしましょう。と言いたいところですが、中国人と日本人の感覚の違いか、日本のアプリと比べて非常に多くの権限許可を求めてきます。
一例としてあるアプリをインストールする時に求められた許可を書きます。- 端末のステータスとIDの読み取り
- 電話番号発信(料金が発生する場合があります)
- テキストメッセージ(SMSまたはMMS)の読み取り
- 録音
- おおよその位置情報(ネットワーク基地局)
- 正確な位置情報(GPSとネットワーク基地局)
- USBストレージのコンテンツの変更または削除
- USBストレージの読み取り
- ネットワークへのフルアクセス
- ネットワーク接続の表示
- ネットワーク接続の変更
- Wi-Fi接続の表示
これは、テンセント開発のあるゲームをゲームの公式ページからAPKファイルをダウンロードしてインストールする際に許可を求められた権限です。テンセントは上記に書いたように中国大手のAndroidマーケットを運営しており、独自にも開発を行なっており信頼のある企業です。中国当局の介入がなければユーザーの意に反する動作をして信頼を失う真似をする事はほぼないと言えます。
ちなみにこれが怪しいかどうかと言うと、別に中国でなくともGoogle PlayやAmazon App Storeで海外のゲームをインストールする時によく見る権限であり普通は怪しくありません。GPS情報はゲーム内の広告配信に便利だし、USBストレージはゲームデータの保存、ネットワークも基本無料ゲームなら絶対に必要です。録音はなんでかなと疑問に思いましたが、ゲーム内でボイスチャットができる機能がありました。(たぶん、電話番号発信もこのあたり)だから大丈夫かと言うと微妙で、例えば録音とネットワークの組み合わせで勝手に録音してサーバーに送信もできます。基本的に求められた許可は使い方次第で悪用もできます。よってそのゲームで本当に必要な許可かどうかを吟味してインストールする必要があります。どういう利用と悪用ができるかは次ページを見て確認すると便利です。
私の対策
上記に気をつけた上で私は中華アプリをインストールしたAndroid端末は次のようにしました。
- 初期化して出荷状態に
- カメラ部分はガムテープで隠す
- GPS機能OFF
- 個人情報や機密情報が必要なアプリをインストールしない。
- 電話機能のないタブレットを使用(本当は録音・GPS機能がないタブレットが欲しかったが…)
最低限ウイルスが入っても問題ない状態にしました。この状態でできる悪用は次のとおりです。
- 1.GPSの位置確認(GPS機能を強制的にONにした場合)
- 2.端末IDなどの情報
- 3.録音
- 4.Android端末の制御
- 5.etc(私が想定していないもの)
1,2については個人情報と結びついていないので別に良いかなと思っています。3は困ってるけど中華アプリは長くインストールしたままにせず余計な事を喋らないようにしています。全てのゲームではありませんが中国の基本無料ゲームは、端末IDでアカウントを管理しているようで日本のリセマラができず(する必要もないシステム)、アンインストールしてもセーブデータが保持されています。なので基本アンインストールしてゲームをしたい時だけインストールしています。
気をつけるべきは4,5です。Androidでは確認されていませんが、wifi経由でPCにウイルス感染などがあると対処しようがありません。多分、脱獄しなければ絶対に不可能な機能だと思いますが。絶対に許可すべきでない権限は「管理者権限」。タブレットは基本的にほとんどの権限を求められても困らない状態にしてあります。
まとめ
一通り私が持っている知識を文章化しました。中華アプリをインストール際はなるべくセキュリティを中心に知識を揃えて下さい。また、ウイルスが入ってもかまわない事前提でタブレットを掃除しておく事も勧めます。あと、この記事はあくまで私の知識に偏った私が対策している方法を書いた記事です。私が知らないセキュリティ対策など優秀な中華アプリライフ法もあると思います。鵜呑みにしては困ります。中華圏に限らず未知の言語や世界のアプリに挑戦する場合は最大限のセキュリティ防御を考えてください。