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音楽・話・映像、全てスーファミFFの進化「FFレジェンズ時空ノ水晶」感想レビュー

音楽も雰囲気もナンバリングタイトルとは別方向にスーファミ版ファイナルファンタジーの正当進化を果たした「FFレジェンズ時空ノ水晶」の感想・レビューです。面白いスマホゲームを探している場合の参考にしてください。

ファイナルファンタジーレジェンズ時空ノ水晶とは

スクウェア・エニックスが配信しているスマホ版ファイナルファンタジーシリーズの1つです。前作としてファイナルファンタジーレジェンズ光と闇の戦士が買いきりタイプで配信しています。クロノトリガー、ライブ・ア・ライブで有名な時田貴司がゼネラルディレクター、音楽は水田直志氏が担当しています。前作のはスーファミ時代のFFを再現する事を目指しているように感じますが、今作はスーファミ時代のFFを現代の技術でナンバリングタイトルとは別方向にパワーアップした作品になっています。

ファイナルファンタジーレジェンズ時空ノ水晶のレビュー

現在は序盤をプレイしたファーストインプレッションのレビューです。後日レビュー内容が変化する場合があります。

レトロFF愛をゲーム内のあらゆるところから感じる良作

FF4~6の魅力は何でしょうか?きめ細かなドット絵、SFC独特のサウンド音、愛をテーマにした感動のシナリオ、横サイドビューのアクティブタイムバトル戦闘システム、様々にあります。これらはFF7以降、ポリゴン3D空間になってから大きく変貌していきました。私はオンラインタイトルこそ未プレイですが、FF7以降FF13まで全て好きです。しかし好きな理由は壮大なグラフィックだったり、独特の戦闘システムだったりと様々ですが、旧FFとは別の理由です。

時空ノ水晶は近年のナンバリングタイトルが失った方面の面白さを引き出す事に成功しています。そして注目すべきは決して古臭いわけではなく、スーファミFFの良いところだけ引き出して今の技術でパワーアップさせ若い世代も最新ゲームをプレイしている感じで楽しめる良作になっています。バランス的にも無課金者でもじっくり攻略していけばクリアできる良バランスになっています。

スーファミFFを懐かしむ現代ゲーム音楽

まず真っ先に素晴らしいと感じたのは水田直志氏作曲の音楽です。水田直志氏は前作光と闇の戦士やオンラインFFなどを担当しておりFFの音楽はお手の物です。そんな彼が作った音楽が悪いわけがありません。楽曲群は決してレトロではなく、現代RPGの音質です。今のDTM技術をフルに駆使して作った楽曲だとすぐにわかります。それでも、旧FFの聞き覚えあるフレーズをフシブシに取り入れており何故か懐かしさを覚える不思議な感じがする音楽です。また、植松伸夫氏をリスペクトした楽曲ですが、決して劣化コピーになっているわけでなくリスペクトした上で水田直志氏オリジナルの要素がふんだんに取り込まれており悪くない出来になっています。正ににFF愛がないと作れない系統の音楽ですね。

旧FFを正当進化させたグラフィックや世界観

敵キャラの外見はスーファミFFをそのまま使っています。しかし、キャラはよく動き戦闘エフェクトは派手です。戦闘、イベントシーン、フィールドどれを見ても旧FFなのにグラフィックや動きは古臭くありません。時田貴司氏は何度かインタビューで2Dドット絵をポリゴンで作って動きは3Dグラフィックで管理していると発表しています。全てをドット絵で描くよりは流石に荒いですが、それでも3Dにした事でキャラクターの動きは滑らかで、しかもよく動きます。ドットだけで対応していたら時間が足りなくて実現不可能な事をやり遂げています。

そしてエフェクト部分はドット絵でなく通常のエフェクトですが、それが戦闘やイベントをさらに盛り上げています。ちなみにキャラクターのドットはスーファミ時代のゲームを模しているよりスーファミ時代のゲームパッケージキャラをドット化した感じです。

このドット絵風の3Dキャラの横顔、FF4~6あたりのパッケージに似てると思いませんか?

例えばこれ。ゲーム内のドットより、このパッケージをドット化したような雰囲気ですね。

シナリオは幻獣世界や過去・未来の世界を旅する話になっています。まだ序盤ですが、懐かしい感じでいっぱいです。例えば、ミシディアなど旧FFをプレイしていたら絶対に知っている地名や言葉があちこちに出てきます。

イベントシーンはかなり力が入っており、少なくとも戦闘の合間にノベルゲームを入れるような簡易的な作りではありません。シナリオ中はドット絵キャラが動き、場面も変わったりエフェクトも使って情熱的な物語を演出しています。舞台は中世をイメージして作られており近年のSF的な世界観ではありません。旧FF独特のバンザイや悲しみを表すポーズなどもイベントでおおいに活用しています。私が旧FFの正当進化と一番感じる部分です。テンポよくするため、短いシナリオながらも目が離せず先の展開が気になるほど面白い内容です。

キャラを掘り下げる「エピソード」も見逃せません。これは村人などから受けるお使いクエストを達成して溜めるCP(クロノスポイント)を利用して行うクエストですが、他のイベントより長く、キャラも掘り下げられサブイベントながら感動する内容になっています。CP溜めが面倒くさいですが、それでも見たくなるため頑張りたくなる内容です。

幻獣界ではシリーズお馴染みの幻獣が人間風になっています。中世の文化水準ような暮らしです。そういえば4や6でも一定の文化を持つ幻獣界がありましたね。

幽霊船、時空ノ水晶の重要なキーワードのひとつとなっています。

快適だけど本格的な戦闘システム

主役キャラは幻石と呼ばれる召喚獣の能力を引き出す石を装備して戦闘を行います。それぞれの幻石には1つずつアビリティと召喚魔法があり、戦闘中に使用できるようになります。各キャラ幻石は4つ装備ができて戦闘パーティーは3人+フレンドの幻石が使用できる1匹です。戦闘は各キャラや敵それぞれの「速さ」を考慮した時間の概念を取り入れたアクティブタイムバトルもどきです。もどきと言うのは、コマンド選択中は完全に時間が止まるからです。じっくり攻略方法を考える事ができます。近年のナンバリングFFに近いシステムですね。

メインストーリーモードでは戦闘の合間やラストに突然シナリオが始まります。ただ戦闘をしているわけじゃなく物語を勧めている事を実感でき、シナリオと戦闘も密接しているため面白い作りです。

キャラクターが装備できるのは幻石と武器、アクセサリです。幻石は主にガチャで入手しますがイベントで入手できる場合もあります。武器、アクセサリは戦闘後の宝箱からしか入手できません。戦闘後の宝は6,7個あり、そのクエストの戦闘がどれだけ上手かで入手できる個数が変わります。入手できなかった分は課金アイテムで入手する事も可能です。まぁ、後から何度もプレイできるので無茶な課金は必要ないでしょう。

幻石と武器・アクセサリの関係は今のところ幻石>>武器=アクセサリです。後半に進めるとわかりませんが幻石の成長が攻略の要になってきます。幻石の成長は戦闘後に入手できるアイテムを使って行います。いわゆる合成ですが経験地アイテムがあるので基本はそちらを使用します。

戦闘画面を見るだけで旧来FFが進化したようなイメージを持ちそうですね。モンスターは面影がしっかり残っています。これでモンスターも3Dで出来ているのが驚きです。

幻獣。キャラのステータスはエピソードクリアなどで上昇があるものの、メインは幻石の装備による強化です。

フィールドなども興味深い

フィールドは町とダンジョン(クエスト)が混在しています。実際に移動するわけではなくタップで行き先を選択します。町では村人の話を聞くことができます。通常のメインストーリーを進めたり、ダンジョンで戦闘してレベルアップを図る以外にも村人から特別な依頼を受けるクエストも存在します。時空ノ水晶は時間がひとつテーマになっており、幻獣界、時の狭間、現代や過去など様々な時代や場所を旅します。

現代のフィールド画面。時代を行き来するのもこの画面。印象はFFよりもクノロトリガーを彷彿させますね。

システム的に良いと思ったところ

最初から回復アビリティを持った幻石を所持している点が地味に嬉しいです。基本無料ゲームなので幻石にランダム要素を持たせるのが当たり前ですが、他のソーシャルゲームだと回復アビリティが重要なのにガチャから排出するのは完全にランダムで苦労する話をよく聞きます。その点、回復手段をすぐに用意しているのは好感が持てます。事前登録の☆3回復チョコボを持っていない人の救済が後半にあるか不明ですが……。

幻石の成長にお金がいらない点が個人的にGoodです。通常のお金がいるソーシャルゲームの場合、中途半端に合成してレベルを上げると必要な金額が上昇するのでまとめて合成する必要があります。すると合成せずに素材を溜めるので保管数の上限が余裕で足りなくなります。レベルも上げられないし踏んだり蹴ったり。時空ノ水晶の場合はお金の必要ありませんので気軽に合成できます。本当にこれはストレス軽減しています。

村や町にもっと力を入れて欲しかった

ここからは不満点を上げていきます。村や町で村人と会話ができるのは些細な事だけど面白い要素だと思います。しかし、話せる村人の数は少なく話も興味をひく内容があまりありません。この部分で村人の数を増やし、ストーリーや村の補足をして物語に深みを与えて欲しかったですね。また、シナリオ進行で村人の会話も変わりますが、村人にもっと個性を与えて会話が楽しみになる作りにして欲しかったです。ちょっと勿体無いと思いました。また、村人などから受けるクエストも完全なお使いイベントしかなく、会話が面白くない点も気になりました。

なお、完全に面白くないわけではなく、センスが光る内容を話す村人もいます。

村人との会話は話したい人を選択して聞く方式。!!マークはメインストーリーの進行、!マークはクエスト発生会話。

ストーリー付きハクスラ系からは抜け出せなかったスマホRPG

時空ノ水晶をプレイしていると、本当にコンシューマーみたいなRPGを基本無料で届けたいとの開発者の想いが伝わってきます。少なくとも、今まで私がプレイしてきたスマホ向け基本無料RPGと比べればその出来栄えはピカ一です。しかし基本行動はストーリーを見る、戦闘をする、戦闘が難しくなってきたので幻石を成長させるの3点です。プレイヤーは自由にフィールドを回る事はできません。ゴールドで好きなだけランダム要素のない買い物をする事もできません。つまりプレイヤーの自由度は買いきりRPGに比べると薄い事に変わりはありません。スマホRPGとしては最高峰の素晴らしい出来とは思えますが、今一歩のところが残念でした。

希望として、時空ノ水晶で使った素材をそのまま流用してもいいので、音楽やグラフィック・演出をこのクオリティで買いきりタイプのRPGとしてさらなる続編を期待したいところです。

なお、補足として基本無料タイプだから出来たクオリティとも言えます。これでプレイヤーがこの擬似3D空間を自由に動くなら、操作部分の作り込みも必要になるし、大量のダンジョンや街マップが必要になります。そして、召喚獣のムービーはコンシューマーと比較すると本当にショボいです。基本無料タイプとしては派手なエフェクトなので問題なく感じますが、買いきりタイプでこれだとブーイングが出るでしょう。こう、基本無料だからこそ手を抜ける要素は徹底的に手を抜いて変わりにユーザーが望む要素に力を入れたのが今作だと思います。買いきりタイプなんて作ったらそれこそ後1年は開発期間が必要でしょう。ジレンマですね。

まとめ

長々と語ってしまいましたが、まとめるとスーファミFFが好きな懐古主義の方にも現代のスマホRPGが好きな方にもお勧めできる良スマホRPGに仕上がっている作品です。今までのスマホRPGとは一線を駕すクオリティです。スマホの歴史はパズドラ→ブレフロ→モンスト→白猫ときましたが新たな一歩を踏み出す可能性を秘めたゲームだと感じました。

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