スマホ向け新作ファイナルファンタジーのまとめと考察
スマホ向けファイナルファンタジーシリーズの新作が次々発表されています。それぞれのタイトルについてまとめてみて共通点を考えました。いや、実はどれも楽しみにしているんです。期待を裏切らないでくださいよ、スクエニさん。
ファイナルファンタジー グランドマスターズ
開発がクルーズの基本無料オンラインRPGです。クルーズは近年大きな実績を上げていませんが(その割に株価は高い)技術力は高く個人的に期待している企業です。グランドマスターズはFF11の舞台ヴァナディールで最強の冒険者「グランドマスター」を目指して冒険するRPGです。5種族「ヒューム」、「エルヴァーン」、「タルタル」、「ミスラ」、「ガルカ」から選択しジョブや装備を変えながら冒険します。フィールドが存在し、チャットなどでコミュニケーションが取れスマホに最適化していますがMMORPGライクなゲームになっています。私はお2015年、スマホ向けMMORPGで人気タイトルが出ると踏んでいますがグランドマスターズはその一角となるでしょう。2015年4月にベータ版が配信され、2015年リリース予定です。
また、別タイトルで詳細は不明ですが、FF11のジョブシステムや連携・チェーンシステムを改良したスピーディで快適な新タイトル(仮称:MMMRPG(Massive Multiplayer Mobile ロールプレイングゲーム))の開発もしているようです。こちらはFFと明言していないため、おそらくFF11を模した別タイトルのゲームになると思われます。こちらの開発はネクソンコリアが担当しています。ネクソンさん、日本だとPCのMMORPGで有名ですがスマホゲームでも結構面白いタイトル出してるんですよね。
▲カスタマイズ画面。装備やジョブなどを変更できるようです。
▲フィールド画面。フィールドは自由自在に動く事ができるようになっています。
▲戦闘です。FFらしい4人パーティーのメンバーが横に並ぶ形です。
プロモーションムービー
関連リンク
メビウスファイナルファンタジー
プロデューサーはFF7のディレクターやFF13のプロデューサーを務めた北瀬佳範氏、シナリオはFF7のシナリオを担当した野島一成氏の黄金コンビで贈るスマホFF。ムービーから想像できる映像の質はFF12以上FF13未満。つまりコンシューマーゲーム機のクオリティをスマホに持ち込もうとしている意欲的なFFタイトルです。
スマホで配信するFFタイトルとしては最もグラフィックが素晴らしいです。メビウスの世界「パラミティア」に記憶喪失で辿りついたウォル。パラミティア王国王女セーラ。どちらも最近のFFらしい美男美女です光の戦士やカオスなどストーリーはむしろFF1を意識していますね。なお2015年春配信予定で、情報も最近出始めているので配信はおそらく最も近いタイトルですね。▲おそらくフィールド画面です。綿密にモデリングされた3Dグラフィックで主人公ウォルが歩いています。間違いなく既存のスマホRPGには存在しないレベルの作りこみですね。
▲FFシリーズ恒例のクリスタルも存在するようです。
▲メビウス版モーグリ。結構可愛く描けていると思います。
▲バトルシーン。カメラワーくは次々動きます。また魔法やアビリティの概念があります。
プロモーションムービー
関連リンク
ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス
ブレイブフロンティアを運営しているエイリムが開発を担当しているファイナルファンタジーです。プロデューサーはスクウェア・エニックスの広野啓氏、エイリムのエグゼクティブ・ディレクターの早貸久敏氏、同じくエイリムの制作プロデューサーの高橋英士氏、イメージイラストは天野喜孝氏です。
物語はオリジナルの主人公レイン、ライバル的な位置づけのラスウェル、ヒロインのフィーナが繰り広げるオリジナルストーリーです。また、舞台は「クリスタルの大地」となっておりFFのテーマであるクリスタルが深く物語に結びついています。イメージイラストは登場人物の3名がベヒーモスと対峙する姿が描かれています。戦闘は最大6人バトルのようです。カイン・レイン・ラスウェルと言ったオリジナルキャラの他にFF4カイン、FF6ティナ、FF12ヴァン、パンネロ、バルフレアの姿がいます。これはガチャで入手するのかそれともストーリーに関わってくる(ディシディアみたいな世界観)のか気になります。画面下にはまほう・こうげき・とくしゅなどのコマンドが見えます。おそらくブレフロのシステムを発展して近年配信したレーコードキーパー、ブレイブリーデフォルトアーカイブやFFレジェンズ時空ノ水晶のような複雑なコマンド選択ができる戦闘システムを搭載しているのではないでしょうか。画面を見る限りブレフロにそっくりなため、不安視がありますが発表会当時、制作プロデューサーの高橋英士は「決して焼き増しにはしない。ブレフロとは違う面白さで作っている」と断言しています。個人的に一番注目している言葉は「モンスター・魔法などの記号ではなく、シリーズの雰囲気や要素を感じるタイトルにしたい」と述べている事ですね。近年のFFは既存FFブランドIPの安売りをしているイメージが強く発売後がっかりしたゲームが多かったので期待したい言葉です。ただ、画像を見る限りはやはりブレフロやブレフロのフォロワーアプリにそっくりなのですが……。(私、ブレアカもブレフロのフォロワーアプリと思ってますので……)他の要素として、ダンジョンを歩くような仕掛けを用意しているようです。公開画像の1枚はダンジョンを歩く場所でイベントが発生したシーンに見えますがはてさて。ソーシャルゲームでダンジョンを歩けるゲームと言えばマジック&カノンやドラクエモンスターズスーパーライトなどがありますがどうなるでしょう。
またイベントシーンを楽しくするため人形劇的な手法も考えているみたいです。現在まで判明している情報はこれが全てであり、詳細が待ちどおしいです。ところでこれ、今冬配信予定となっていましたが、もう初春ですよね。もしかして開発遅れてる?
▲モルボルらしくモンスターと戦う6人バトル編成の戦闘画面。レインやラスウェルといったオリジナルキャラの他にシリーズおなじみのキャラクターもいます。
▲シリーズおなじみのイフリート「地獄の火炎」。メカメカしいイフリートですね。見た感じ1枚絵ではなくアニメーションしてそうな感じです。
▲イベントシーンです。現時点で発表されている主要メンバーが会話してますね。そして、おそらくですがこれ、ユーザーが触れるダンジョン部分のグラフィックではないでしょうか?
関連リンク
新たなFFブランド構築を目指して
方針の転換
2014年のスマホ向けファイナルファンタジータイトルと比べて方針転換している事がわかります。2014年はFF1~6のリメイク、従来のナンバリングIPを用いた別にFFでなくても実現できたタイトル(ピクロジカなど)のゲームが大多数を占めていました。つまりIPの消費ですね。ところが2015年2月に配信開始したFFレジェンズ時空ノ水晶は明らかに方針転換しています。召喚魔法や魔法、幻獣、そして懐かしいドットなどFFを意識したグラフィックですが登場人物は全てオリジナルでシナリオにも力が入っています。つまりFFと言うIPこそ活用していますがFFのキャラと言うIPは活用していません。今後配信するスマホ向けFFタイトルを見てみましょう。ブレイブエクスヴィアスは戦闘に従来キャラが出ていますがストーリーはオリジナルのようです。メビウスは完全にオリジナルタイトルですね。グランドマスターズはFF11の続編的扱いなのでFF10-2やFF4After、FF13-2のような扱いです。IPの消費よりも発展的な意味合いが強そうです。
そして、期待ができるのは題名未定のFF11の面白さを再現する題名不肖の新タイトルです。まだ詳細は開かされていませんが、FF11の続編的なグランドマスターと比較し全く新しいけどFF11の面影が残るゲームになると思います。つまり全く新しいタイトルで人気IPを作ろうとする試みですね。実はすでにスクウェア・エニックスでは成功例があります。ブレイブリーデフォルトです。従来のスーファミFFの良さを最新技術で実現する方針の元作られた同タイトルは人気になり3DSでは1,2、PC向けブラウザゲーム、そしてスマホではアーカイブも配信されています。つまりFF派生として新たなIP構築に成功しマルチ展開しているわけです。この新タイトルはおそらく同様の現象を狙っているのでしょう。
そして、ブレイブエクスヴィアスやメビウスなども同様です。新キャラ新シナリオと言う事はつまり新たなFFブランドの中のIP枠組みを作るつもりでしょう。
背景
FFはドラクエと並びスクウェア・エニックスを支えている重要なブランドです。ナンバリングタイトルはFF1~14まで発売し全て人気タイトルとなりました。(少なくとも売り上げでは)そしてディシディアなど様々に活用されてきました。一方でクリスタルクロニクルなどFFと名が付いたナンバリング以外のタイトルはあまりIP活用できていません。オリジナルがナンバリングほど売上を取れないからです。IP化に成功したのはファイナルファンタジータクティクスぐらいですね。
昔はFFのナンバリングタイトルを出せば良かったのですが近年はここで問題が出てきます。開発費の高騰でナンバリングを連発できないのです。現在PS4向けに開発が進められているFF15はFF13と神話を共通にしたFF13枠組の中で発売するはずだったタイトルです。つまり7年以上開発に期間がかかっているわけです。こんなスパンじゃ新たなIPが作れない……、そこで目を付けたのがスマホでしょう。
今やスマホの既存タイトルはほとんどが基本無料であり多くの若者が簡単にインストールする事ができます。FFポータルアプリも作りFFシリーズファンにもすぐに情報が届きます。この多くの人々に触れる機会がある点が重要です。クリスタルクロニクルなどはユーザー数がナンバリングと比べて少ないためIP化し失敗しましたがスマホならIP化に成功できる土台があるのです。なのでオリジナル主人公のオリジナルストーリーが展開されるのです。勿論IP消費しただけのFFじゃなくてもできるゲームにユーザーが飽きてきている理由もあると思いますが。
基本無料はユーザーに知ってもらう手段
北瀬佳紀氏はメビウスファイナルファンタジーについて以下のコメントを発表しています。
「基本無料(アイテム課金型)として提供することを決定しました。まずは触って頂き、時代の変革の分岐点を体験していただければと思っています」
引用元:MEVIUS FINAL FANTASY | SQUARE ENIX
勿論、基本無料の方が利益がある事も理由の一つでしょうけど、このコメントからは「多くの人に触っていただきたい」という想いが強調されているように感じます。このグラフィックですから将来性が大きいタイトルです。マルチ展開ができるかもしれませんし買い切りタイプの外伝を発売できるかもしれません。最近のFFはこの部分を生かそうとしているのかもしれません。
そもそもFFブランドは古くなってきています。FF13が発売されたのが6年前、今の小学生は興味があまりなさそうな世代です。つまり新世代にFFを知ってもらう機会を増やさないとFFブランドが死滅してしまうのですね。ちなみに任天堂がDeNAと業務提携を発表しスマホにゲームを配信する事を決めた大きな理由も、この将来を担う小学生以下に現在のIPを提供し続ける手段が最も大きいです。大人世代はもうポケモンを知ってますから慌てる必要を感じられません。
ユーザーに知ってもらう手段のもう一つの証拠として、様々なパターンのFFを提供しようと感じられます。グランドマスターはFF11、時空ノ水晶はFF4~6、メビウスはFF10~13、ブレイブエクスヴィアスはブレフロユーザーにアピールしています。新旧の世代を引き込もうとしています。FFと言うブランドが死滅する前に新たなFFブランドを構築する、このスクウェア・エニックスの姿勢は歓迎します。何故ならこの考えの下、ゲーム製作をしているのならIPとパズドラやブレフロを組み合わせただけの既存パクり劣化ゲーになる事はないはずですから。
今後の展開
今後は近況ではなく1年先、2年先です。ヒントの1つはミリオンアーサーです。拡散性ミリオンアーサーから始まった一連のシリーズはほぼ正当な続編となる「乖離性ミリオンアーサー」が好調です。また、実写版ドラマ「実在性ミリオンアーサー」も実写と言う意外性や毎回ネタに走る予告、UTSUWAと親しまれる歌などで好評のうちに終わりました。きっと乖離性の新たなファンを掴んだでしょう。ちょっと成功するか疑問ですが、ミリオンアーサーエクスタシスも運営が開始しました。つまりIPを活用したマルチ展開が加速しています。
おそらくFFブランドのいくつかも同様になるでしょう。メビウスFF-2みたいな展開もありそうですし、逆にコンシューマー向け続編が作られるかもしれません。さらに発展すればディシディアFFみたいなお祭りゲームにスマホタイトルからのキャラが参戦するかもしれません。そして同様にFFブランドから既存IPを使わない新規タイトルは今後も出るのではないでしょうか。
ナンバリングしか無かった頃からの希望ですが、個人的にはスパロボみたいにFFのオールキャラが原作重視+良改変シナリオで話が進んでいくノベルシーンがあるゲームをプレイしたいですね。
まとめ
簡潔に言いたい事をまとめると「既存コピーの焼き増しではなく期待できますね!」です。私は正直レコードキーパーまでのFF基本無料アプリは肌に合わなかったのですがFFレジェンズ時空ノ水晶は配信直後のシナリオボリュームに問題あるもののドストライクでした。が、このような考察を考えるとワクワクせずにはおれません。