2030年将来のビデオゲームが驚くべき進化を遂げる4つの技術革新
ゲームは日々進化を遂げています。では、今後の将来、ビデオゲームはどのように変貌を遂げるでしょうか。現在研究中、又はすでに実用中のゲームに応用できそうな技術をまとめてみました。
はじめに
"Who wants to play video games?" by JD Hancock cc-by
ゲームは10年毎に恐るべき進化を遂げています。1972年アメリカで世界初のゲーム機ODYSSEY(オデッセイ)が発売しました。その後いくつかゲームが発売されましたが、特に日本では普及せずに衰退するだろうと言われていました。ところが1977年第一次ゲームブームが勃発、様々なゲーム機の発売が始まりました。ちなみに当時のゲーム機は安くても5万円、通常10万円前後していました。しかし高級ゲーム機は売れずに低価格化していきそして爆発的に売れたのが1983年14,800円で発売した任天堂のファミリーコンピュータです。その後5年毎に変革期が訪れファミコンをパワーアップしたスーパーファミコン、3Dポリゴンが得意なプレイステーション、滑らかな挙動をするプレイステーション2、3,4とゲーム機でできる事は増えていきました。また、ファミコンをどこでも遊べるようにしたゲームボーイからDS、PSP、VITAと携帯ゲーム機も時代と共に進化してきました。さて、今後のゲーム機はどうなっていくのでしょうか。2030年に発売するプレイステーション7はどのような形態になっているのでしょうか。そのための片鱗とも思える技術がいくつかありますので紹介したいと思います。
進化系グーグルグラス
Googleはスマートフォンの次ウェアラブル技術としてグーグルグラスを研究しています。しかし、Googleはグーグルグラスよりさらに先の未来を想定してある特許を出願しています。次世代Google Glassと考えられている内容ですが、メガネから腰に伸びたカメラが特徴的です。特許技術の内容を見ると、次のような事ができるようです。
- 眼鏡から自分の指を見るとアプリアイコンがある。
- コピーや選択、キャンセルなど一連の動作は指の形で行う事ができる
- スーパーマーケットのカートと連動して眼鏡に買い物メモ、商品の詳細情報などを表示
- 商品棚からその商品を利用している様を3D表示で動かす
- ソファに座りながらリモコンを使う必要なくエアコン操作、テレビの切り替えなどを指だけで行う事ができる(そもそもこんな技術があったらテレビいらない気もしますが(汗))
- 3Dディスプレイを空中に表示
- 端末データは全てクラウドにアップしている。
- 参考:Google Glassの先にある技術が特許出願資料から判明 - GIGAZINE
SF世界でよく見かける技術が将来は現実になります。眼鏡型ゲームデバイスとしてはOculus Riftが先駆けてリードを見せています。眼鏡をつけて空中に情報を出し、ベルトを歩く足でゲーム世界の自分も歩いており、少なくとも現状のゲーム機と比べると画期的ですが、進化系グーグルグラスはゲームに関してもさらに上の事ができるようになっていきます。次のような特徴があります。
- 現実の動作をゲームに簡単に反映できる
- コントローラーがいらない。指の動きでコマンドを選択し、空中をタップすれば画面をタップするのと同じ動作になる。
- 眼鏡による大画面
- GPS連動によるリアル脱出ゲームと連動した大規模MMORPG
グーグルグラスがゲーム機としての覇権を握るかは不明ですが、2030年代ゲーム機モデルのベースは基本的にこのようなウェアラブルが付属するでしょう。
高度な音声対応の自動翻訳システム
Skype-mic for recording by Marco Reaaphorst cc-by
現在、自動翻訳については精度向上、時間短縮、音声認識技術向上、この3つが問題となっています。精度の問題についてはGoogle翻訳の誤訳がネタとして取り上げられる程まだ問題が山済みである事は皆も承知の通りですが、リアルタイムに喋った言葉をコンピューターが認識して、それを素早く翻訳相手に伝える技術も問題となっています。翻訳精度の問題はまだまだ山済みですが、近年は翻訳速度、音声認識の制度は数年前と比べて格段に向上しています。以下はそれぞれ研究機関、ドコモ、グーグル、マイクロソフト、ペンタゴンの技術についての説明です。すでに公開している技術もあれば研究中の技術もあります。
翻訳技術
NTTドコモでは、独立行政法人情報通信研究機構の多言語翻訳エンジン、NTTの日本語解析処理に基づく機械翻訳技術を併用し、世界最高レベルの機械翻訳精度を目指す
引用元:ドコモが機械翻訳の会社を設立、世界最高の精度を目指す
アメリカ合衆国の国防総省「ペンタゴン」は莫大な時間と予算を費やして完全な翻訳装置を作り上げようとしてきましたが、新たに型破りな研究を始めている。それは「すべての種類の言語を理解できるロボット」の研究
引用元:ペンタゴンが本物のC-3POを開発か、すべての種類の言語を理解できるロボットを研究中
翻訳技術は2015年現在、まだまだ正確ではなく改良の余地があります。紹介した以外でも大手ITメーカーで翻訳技術の向上に取り組んでいる企業は数多くあります。
翻訳短縮技術
日英対訳の文章50万対と単語240万対の情報をコンピューターにあらかじめ入力し、単語の並び順のパターンを分析。ある単語が来た時に、そこで区切って翻訳できるかどうかを見極める方法を考案し、翻訳の精度を落とさず、遅れを従来の5秒から1~2秒まで縮めることに成功
引用元:日本語吹き込むと1秒で英語に 東京五輪開催までの実用化目指す
音声翻訳は音声を取り込む→文法などを元に翻訳するの時間がかかってしまう問題があります。これを解決する手法として期待されている手段です。
音声認識技術
「Google Translate for Android」アプリの「会話モード」機能が、これまでの英語-スペイン語に加え、日本語など14の言語に新たに対応
引用元:グーグル翻訳アプリの「会話モード」機能、日本語などにも対応
Skype TranslatorプロジェクトはSkypeで会話をしているときに、音声とテキストの両方に同時通訳を提供する。お互いが相手の言語をまったく理解できないときでも、スムーズに会話できるようになる
引用元:Skypeの同時通訳/翻訳機能Skype Translatorが今日からプレビュー
Skype Translatorでメキシコ(スペイン語)とアメリカ(英語)の子供たちが楽しそうに話す動画です
グーグル翻訳アプリの「会話モード」の説明です。
音声認識も課題の1つですね。正確に音声を読み取らないと翻訳以前に同言語の内容がかみ合いません。ここ近年で精度の向上が見られる大きな事例の一つです。
自動翻訳システムまとめ
この翻訳技術はチャットが搭載されているソーシャルゲーム、MMORPGと組み合わせると確実に影響します。現在はあまり主流ではありませんが、音声チャットのMMOが主流になっていくのではないでしょうか。そして海外のプレイヤーと一緒に冒険したり仲良くなれたりします。まさに「ゲームに国境はない」状態を再現する事ができます。
特に音声認識技術の向上は翻訳機能関係なしに、キーボードや画面に文字を打つ必要がなくなります。ゲーム開始時にキャラクターの名前を音声で入力できます。チャットもいちいちキーボードを使う必要がありません。また、パソコンで主流の文字を多様するタイプのゲームを簡単にスマホや家庭用ゲーム機に採用できます。
翻訳技術の向上は、開発者が翻訳業者に頼む必要なく世界各国にゲームを配信する事ができます。私達は英語のゲーム以外にも中国・フィンランド・メキシコ・サウジアラビアなど文化も言語も異なる国で作られたゲームをプレイできます。それも意味を理解しながら。
人工知能
Robot on the Taff by JohnGreenaway cc-by-sa人工知能のゲームへの応用
英国で行われたチューリングテストで、13歳の少年を想定した人工知能「ユージーン」が審査員の33%に「人間」と判定された
引用:チューリングテストに「13歳」の人工知能が合格
ユージーン君は英語ですがこちらにいますので会話が可能です。
このシステムは単なる論理的知能(logical intelligence)ではなく、感情的知能(emotional intelligence)を意味します。ふざけたり、ジョークを言ったり、魅了したり、何かを愛したり、人間の感情を理解するのです。2029 年には実現する。
引用元:世界的権威レイ・カーツワイルが、グーグルで目指す「究極のAI」
GoogleのAIが将来どうなるかです。
IBMが新たに開発に成功したチップは、人間の脳が持つニューラルネットワークを再現するという既存のコンピューター技術とは一線を画すもの
IBMが人間の脳と同じ構造を持つプロセッサーの開発に成功
人工知能は将来はおろか現在のゲームでもなくてはならないものとなっています。スカイリムに代表されるオープンワールドのNPCキャラは独自の人工知能の元でプレイヤーに対してアクションを取ります。話す言葉は状況に合わせて自動に変化し独自の生活を営みます。三国無双など大勢の敵キャラが存在するゲームは1体1体が独自の解釈により行動します。人工知能やPC能力の成長により、近年は多くのキャラを独自の処理に基づき同時に動かすゲームも珍しくありません。
さて、ゲーム以外の人工知能と言えば私達の身の回りにあるものとしてSiriがあります。Siriに話しかけると面白い回答を返してくれたり便利な機能を教えてくれたりします。まるで一人の人間のようです。また、ネット巡回で情報を集めるため最新の情報に基づいてどんどん賢くなっている事も見逃せません。
現在、siriのように自然言語人工知能を搭載した本格的なゲームを知りませんが、もし存在したら面白い事になりそうです。
さて、私が注目すべきだと思う時代は2029年と2045年です。
人間とコンピュータの区別をつけることができなくなる「チューリングテスト」を残り越えるのは、2029年頃と言われている
コンピュータは人間を神にするのだろうか〜2029年に訪れる人間とAIが対等になる時代 : アゴラ - ライブドアブログ
なお、2045年は人工知能が人間の能力を超える事になると言われています。そして少なくとも2029年人間は人工知能を人間と認識してしまうのです。
2029年にラブプラスが発売したらとんでもない事になってしまいます。現実の人間と変わらない異性とデートができます。人口増加に歯止めがかかるでしょう。オープンワールドRPGはNPCは様々な性格を兼ね揃え現実の人間なみの知能を発揮します。RPGでなくとも仮想の街で過ごすアプリなども楽しそうです。
UIの面でも見逃せません。人工知能が発達する事によりプレイヤーが困っている事をいち早く察知できるようになります。プレイヤーに道筋を教える事が容易になります。
人工知能が作る創作分野
星新一のショートショート全編を分析し、エッセイなどに書かれたアイデア発想法を参考にして、人工知能におもしろいショートショートを創作させることを目指すプロジェクト
きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよ
コンピュータに冗談を言わせたり、本格的なクラシック音楽を作曲させて、それを人間が演奏し、CD化して発売するところまで行っている
AI(人工知能)は人を感動させる芸術作品を創作できるか?
近年の人工知能は創作をしてしまおうと言う部分があります。現在、肉体労働は次々ロボットに取って変わられる状態になっていますが、創作分野まで奪ってしまったらまさに人間労働力いらねー状態です。上記では歌を作って、物語を作る事しています。そしてロボットが作るゲームも存在します。
アンジェリーナはゲームの悪い部分を削除し、その分、新たな要素を追加していきます。すると、まるで生物が環境に適応していく様に、ゲームは進化
引用元:「もう人間いらないじゃん・・・」 ゲームつくる人工知能、ロンドン大の学生が製作
ロンドンの学生はアンジェリーナと呼ばれるゲームを作る人工知能を開発しました。難易度、敵の動き、パワーアップなどを分類しゲームを作り、自身でテストをします。そして人間が楽しめるように調整します。また、人間がプレイした内容を学習してさらにステージを作ったりしていきます。以下のサイトで人工知能アンジェリーナ君が作った数本のゲームをプレイできます。
さて、この創作できる人工知能の活用法はいくつかあります。長い目で見るならゲームの創造です。シナリオ・音楽・ゲームデザインを全て創造し自動公開する事です。しかし、全てを任せるのでなく、一部分を任せる事を考えても大きな力を発揮します。例えばアクションゲームやローグライクゲームのステージをアルゴリズムに任せて自動生成する事は現在でもすでに行われています。人工知能にバグを発見させる技術も向上するでしょう。
将来的にはソーシャルゲームのイベントを自動化させる事や追加ステージの作成も可能です。ゲーム開発者は1本人気コンテンツを作れば、運営を全て人工知能に任せて新たなゲームを創造する時間を作れるでしょう。
正直ユーザーとして考えるとあまり嬉しくない状況ですが、2030年はこのような製作体制になる可能性も十分あります。
五感を刺激する装置
現在、ゲームは視覚と聴覚から刺激を受けます。人間の五感は視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚であり触覚、味覚、嗅覚をゲームで再現できていません。ヴァーチャルな刺激を現実のものとして再現するには実物が必要です。
触覚
ディズニーの研究者が、蝶がとまったような感触やテニスボールに強打されたような感覚等を空気の渦で可能にするフィードバック装置をつくった
引用元:空気でゲームを体感できる装置
スクリーンをタッチすることで「立体感」が得られるアルゴリズム「Touch Surfaces」が開発されました
引用元:ディズニーが「立体的な感触」を得られるタッチスクリーンアルゴリズム「Touch Surfaces」を開発
超音波を使い、何もない空中に球体などの触れる立体形状を作り出す技術を英国ブリストル大学の研究者らが発表しました超音波で空中に触れる3D形状を作る技術、英大学研究者がデモ
触覚に対する研究も進んでいます。Touch Surfacesはスマートフォン・タブレットデバイスの触覚を3次元にしてしまう革新的な能力を与えます。また何もない空中に球体などの触れる立体形状を作り出す技術は進化系グーグルグラスと愛称が良いようにみえます。現在、振動コントローラーなど触覚技術に関わるゲーム利用の研究成果もありますが、将来的にはビデオゲーム世界の感覚そのものを触覚として伝える事ができそうになります。
嗅覚
東京農工大学の開発チームがディスプレイに映し出されたモノのにおいを実際に画面から発生する装置を開発
引用元:東京農工大学がニオイの出るディスプレイを開発
紹介した以外にもいくつかあります。ゲーム中の草木や花の匂いを嗅ぐ事ができるようになるわけです。ゲームで美味しそうな食事が出てきても実際に食べれるわけでなく匂いだけなのが問題です。また、匂いの原理は香水と同じなので消費物という問題が残っています。
体の状態を把握するシステム
涙に含まれるグルコースレベルを常時監視してスマートフォンなど外部機器に送信し、糖尿病患者に血糖値の急変を伝える
引用元:Google、スマートコンタクトレンズでアルコンと提携。無線・センサ内蔵や可変レンズを商品化へ
心拍数に基づいた“リアルタイムパーソナルコーチング”機能によって、効率的なトレーニングを行う
引用元:フィットネスに活用!今注目のウェアラブル端末(デバイス)8選
近年、急激に小型端末を通して体の状態を伝える技術が発達しています。ゲームでグーグルグラスのようなウェアラブル端末が必須になってくると付加的にこれらのような機能をゲームに取り入れる事が可能になってきます。例えば目が疲れるほどゲームを行った場合、時間ではなく目の変化で警告を送れます。ダンスダンスレボリューションのような体をダイナミックに動かすゲームでは実際に消費したカロリー量を概算ではなく動作から算出する事も容易です。
まとめ
以上、大きく4つに分けて2030年代のゲームを支える技術について解説してみました。驚くべきゲーム革新と言えますが、現在技術の応用で実現できる事、及び本格的な研究段階にある技術のみの紹介としています。よって、ゲームに応用されるかは未知数ですが、2030年、ほぼ確実に技術そのものは存在しています。将来は未定ですが、15年後にはビデオゲームそのものが変革しています。さらに2050年代になるとソードアートオンラインのような世界が構築できると言われています。